接骨院の後継者が不在…廃業を避けるための選択肢とは

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接骨院で後継者不在が増えている理由

近年、接骨院・整体院では「後継者が見つからない」という相談が急増しています。
その背景には、業界特有の経営構造があります。多くの院が「一人院長体制」で運営されており、施術・経営・集客のすべてを院長個人が担っています。スタッフに運営を任せる仕組みが整っていないため、院長が引退を考えた時点で事業の存続が難しくなるのです。

さらに、柔道整復師の平均年齢は上昇傾向にあり、体力的な限界や家族の介護を理由に引退を検討するケースも増えています。しかし、子ども世代が必ずしも同じ道を選ぶとは限りません。近年は医療・介護・美容など他分野への進学が主流となり、家族承継の割合が減少しています。
加えて、経営環境も大きく変化しています。インボイス制度への対応、療養費請求の厳格化、広告規制の強化などにより、従来の運営方法では安定経営が難しくなっています。「もう少し続けたいが、環境が厳しい」「この先の運営に不安がある」と感じる院長は少なくありません。結果として、後継者不在のまま廃業を選ぶ院が増えているのが現状です。

後継者がいないまま廃業すると起きるリスク

後継者がいないまま廃業を迎えると、さまざまな問題が生じます。
まず、患者さまの通院先が突然なくなります。長年通っていた人にとって、信頼できる施術者を失うことは大きな不安です。地域医療の観点から見ても、健康維持の拠点が失われることになります。
次に、柔道整復師や受付スタッフが働く場を失うだけでなく、生活基盤にも影響が及びます。突然の廃業では退職準備の時間が取れず、転職活動が間に合わないこともあります。経営上の決断とはいえ、従業員やその家族にとっても大きな転機になってしまうのです。
さらに、廃業にはコストが伴います。テナントの原状回復費用、リース機器の解約、在庫や設備の処分など、整理費用が想定以上にかかるケースもあります。
また、院の運営で積み重ねてきた価値がすべて失われてしまう点も見逃せません。患者データや地域との信頼関係、スタッフの技術や経験、経営ノウハウなど、これまで築いてきた財産は、廃業とともに消えてしまいます。
「きれいに終わらせたい」と考えていても、実際には金銭的・人的・社会的な損失が大きく、想定以上の負担を伴うのが現実です。

廃業を避けるための3つの選択肢

01. 家族に引き継ぐ(親族内承継)

もっとも自然な承継方法は、家族が引き継ぐケースです。
家族間であれば理念や方針を共有しやすく、患者さまにも安心感を与えられます。一方で、柔道整復師など国家資格を持つ家族がいなければ、運営を続けることはできません。
また、経営権や資産をどのように分けるかという相続上の問題も発生します。早い段階で会計士や行政書士に相談し、財産や契約を整理しておくことが重要です。親族に引き継ぐ場合でも、「資格・資金・経営スキル」の三点を事前に確認することで、承継後のトラブルを防げます。

02. スタッフに引き継ぐ(従業員承継)

院で長く働く柔道整復師などのスタッフに経営を引き継ぐ方法は、現場をよく理解した人材が運営を担える点で現実的です。施術内容や患者さまとの関係を把握しており、院の雰囲気を保ったまま継続しやすいことも利点です。
一方で、スタッフが経営を引き継ぐ際には資金面の課題が生じやすく、自己資金だけで開業費用をまかなうのは難しい場合があります。そのような場合は、金融機関の融資や「事業承継補助金」などの制度を活用することで、資金負担を抑えることができます。
また、引き継ぎの前に経営に関する基礎知識を身につけ、管理体制を整えておくことも欠かせません。経営者としての意識を持てるよう支援することで、承継後も安定した運営を維持しやすくなります。

03. 他事業者への引継ぎ(第三者承継・M&A)

後継者がいない場合、M&Aによる事業承継がもっとも現実的な選択肢となります。他院や医療関連企業、介護・フィットネス事業者などが買い手となり、院の経営を引き継ぐケースが増えています。
第三者承継の大きな利点は、患者さまや従業員を守りながら、院のブランドやノウハウを残せる点です。一方で、譲渡先との相性や契約内容によって、結果が大きく変わります。交渉・法務・税務などの専門知識が求められるため、早い段階でM&A専門家に相談し、最適な相手を見つけることが欠かせません。

実際に増えている「第三者承継(M&A)」とは

接骨院・整体院のM&Aは、近年急速に広がっています。その多くは1〜3店舗程度の小規模案件で、地域密着型の院が中心です。大手グループや医療・介護系企業が買収を進める背景には、慢性的な人材不足と地域展開の加速があります。

買い手が注目するのは、資格者の在籍数、患者のリピート率、自費診療の割合、経営の健全性といったデータです。特に、自費施術の比率が高く、安定した収益を上げている院は高く評価されます。
一方で、不正請求や帳簿の不備が見つかると、交渉が中断することもあります。M&Aを前提に準備を進めるなら、まずは財務と運営を整理し、「透明性のある経営」を整えることが重要です。長年築いてきた信頼と技術を、別の経営者にバトンタッチすることで、地域の医療インフラを守るという意味があります。自分の引退と同時に院を終わらせるのではなく、次の世代へ引き継ぐ手段として前向きに捉えるべき時代に変わりつつあります。

承継を成功させるために準備すべきこと

事業承継を進める際は、まず現状を整理することから始めます。
財務データ、契約内容、設備、保険請求関係などを明確にし、経営状態を可視化します。

次に、従業員と患者さまへの説明です。
承継に関する情報は慎重に扱う必要がありますが、最終的には安心して通い続けてもらえるよう丁寧に伝えることが大切です。
「経営が変わっても施術内容や体制は継続する」と説明できれば、不安を和らげられます。

また、許認可や施術管理者の変更、賃貸契約の名義変更など、行政・契約関係の手続きも忘れてはいけません。
これらは承継後の営業継続に直結する項目です。
法務・会計の専門家と連携しながら、抜け漏れのないように整理しておきましょう。

納得できる承継を進めるために

M&Aでは、買い手と売り手の間に情報や経験の差が生じやすく、準備不足のまま進めると、不利な条件で契約してしまうおそれがあります。契約内容の確認を怠った結果、想定外の負担を抱える事例も少なくありません。こうしたリスクを避けるためには、法務・財務の知識を正しく理解し、客観的な視点をもって判断することが欠かせません。また、後継者がいないという理由だけで廃業を選ぶのは早計です。家族や従業員、あるいは他事業者へ引き継ぐ方法を検討すれば、院の価値を残しながら経営を次世代へつなげることができます。経営の終わり方を考えることは、患者さまや地域の健康を守ることにもつながります。

これまで多くの接骨院・整体院の承継を支援してきた経験から、私たちは「数字の整理」だけでなく「現場運営の実態」にも踏み込んだサポートを行っています。後継者の選定や譲渡条件の調整、スタッフや患者さまへの配慮まで、すべてを一貫して支える体制を整えています。「このまま続けるのが難しい」「誰に託すべきか悩んでいる」。後継者不在や引退の時期に悩まれている方は、まず一度ご相談ください。

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